電子デバイスの扱いの基本


導電マットとiPod
電子デバイスを扱う作業は静電対策マットの上で行なう。

iPodの分解で使った緑のマットは、裏と表で1Mohmの抵抗がある2層式の静電対策マットだ。裏側をアースして使う。普通は床面と作業台の作業面に、このマットを張り、作業者は静電対策靴を履き、静電対策衣を着て作業する。
簡易的には静電対策マットと高抵抗付リストバンドの装着で対策を行なうこともできる。
2層式の導電マット
CMOS半導体を使った電子デバイスは、静電気にきわめて弱い。

湿度にもよるが、人が歩行すれば3歩で1000Vの静電気を帯電する。その状態でデバイスを素手で扱ったり、電位差がある卓面などに置いたりすれば静電破壊が生じる。

電子機器を組む工場では、床面、机面、人体、設備の静電対策を行なっている。
iPhoneガール(素敵な歯並びだ)の作業着も静電対策されている。
帽子や上着の黒いストライプは飾りではなく、導電のためのカーボンが織り込まれているからだ。静電対策のための着衣なので厚くなくてもかまわない。
リンクが切れたので手持ちのを表示


iPhoneガールの作業机も今回使ったマット同様の、静電対策されたマットが張ってある。電子デバイスはスポンジ状の導電マットに差したり静電対策袋にいれて取り扱う。表面実装用の電子デバイスは静電対策ケースに入れた状態で実装機に装着する。

オークションのパーツは危なそう

よくオークションなどで売りに出されているパソコンのパーツで、むき出しの机や紙の上、床に置いて撮った写真を見かけるが、このように外された部品の信頼性は問題外である。

この程度の意識で作業すること自体が問題で、信頼性などゼロに等しい
とくに湿度が低い冬場にパソコンをバラシて部品を取るなどは、不良品を作り出すだけである。この種の連中は、大概「基板」のことを「基盤」などと書く傾向がある。これを見つけたら警戒レベルを2ポイント上げるべきだ。

オークションで危ないと思ったら、「何に置いて撮っていますか」「静電対策はどのようにしていますか」などと聞いてみるといい。この質問でオークションを取り下げるようならまだマシである。

分かっている人は、静電対策をふまえて写真を撮っているので、そのような意識を持っている人の商品を選ぶべきである。単体の半導体デバイスだけでなく、CPUは当然のこと、メモリやグラフィックボード、拡張スロットにさすプリント基板、アッセンブリ済みの電源基板、モデム基板などの半導体素子が付いている基板の扱いも同じだ。

静電破壊でいやなのは、部品に静電破壊が起きても、すぐに不具合が現れないことだ。いわゆる「半殺し」の状態で破壊され、しばらくは普通に動作する。不具合がおきはじめるのは、早くても2-3ヶ月たってからのことだ。エポキシ樹脂で封印されたこれらのデバイスの静電破壊を発見するには、X線検査をしないとわからない。会社で設備を持っているのでなければこの検査はできない。

電子機器の開発や製造にたずさわっていれば、静電対策は基本中の基本である。素人が取り外した半導体デバイスは手を出さないほうが無難である。とくにCPUは、やられやすい部品の筆頭だ。不良品を掴まされても、剣山につかうわけにもいかない。

03 Nov, 2009 | mokimoc
« Prev item - Next Item »
---------------------------------------------

Comments



Leave comments

このアイテムは閲覧専用です。コメントの投稿、投票はできません。